幻想的!!!中国古典美容の材料に頭が下がる      トップに戻る

●美容とダイエット ● 筏丸けいこの突撃レポート「悠久の美を求めて」  第 4 回

 
   

 

 

 

 

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美容材料の豊富なこと!!

さて。前回の<豚のすい臓>の登場におどろいているあなた。

中医学古典美容のクレンジング剤やローション、軟こう類など、外用でつかわれる材料の豊富さ・奇抜さは、そんなもんじゃありません。

美容効果のあるさまざまな植物系の漢方生薬のほかに、豚のすい臓、烏賊の軟骨(うぞくなんこつ。イカの甲の部分で石灰質)、烏骨鶏(うこっけい)の血、生栗の薄皮、羊の乳、人間の乳、麝香(じゃこう)、鹿の角、阿膠(アキョウ。ロバの皮の毛を除いて煮詰めたゼラチン)、死んだカイコの幼虫などなど。

このような美容材料のラインナップはもっと、もっと、もっとすごい。

身近なもので化粧品を手作りしましょう的な世界とはちがって、日常生活ではみられない物が美容につかわれ、幻想的ですらある。

 
   
   
 

シャネルの5番

たとえば麝香は別名・ムスク。オスのジャコウジカの、陰茎と臍のあいだにある外皮と密着している袋状の麝嚢とよばれる器官があって、そのなかに含まれる軟こう状の黒褐色の分泌物を乾燥させたものが麝香だ。

発情期のオスがメスを誘うときに、このニオイのある分泌物が排出される。1頭で得られるのは50グラムくらいとか。現在は絶滅のおそれがある天然記念物のため捕獲はできない。以前、麝香に似せた合成物質のニオイを嗅いだことがあるが、動物小屋の糞尿臭を超える、もろケダモノ臭で、野趣あふれるかんじ。私、ちょっと好みかな。1000分の1以下に薄めると、いいニオイになるらしいし、かの「シャネルの5番」は麝香が配合されているとか。

もちろんジャコウジカだけでなく哺乳動物は、性腺から特有のニオイを分泌している。動物社会のニオイと行動と、私たちの嗅覚や皮膚とどんな関係があるのか。中国では薬用だが、ヨーロッパや中近東などでは香料として使われている。

鹿角膠(ろっかくきょう・ろっかくこう)は鹿の角を煮詰めたニカワだ。ロバの皮、豚の皮などもそうだが、皮を煮た「煮皮」がニカワの語源らしい。このようにゼラチンが主成分のニカワを使う美容法は、現代に通用する。

 
   
   
 

そして、そして、精液までが使われていたのだ。誰の?! おもわず、ツッコミたくなりますよ、顔面シャワーってわけ?! なんでも人の精液と鷹シ白(ようしはく。鷹の大便の白いとこ?!)を混ぜて、顔の腫れ物や傷がなおったあとに残るあとに、日に2回つけると消えるそうだ。ハチミツをまぜてもいい、と。意欲的なアプローチ!! 試してみたくはないが、たしかアラブの医学にも精液が使われていた。

材料が豊富な中医学美容に、今後、私たちはどこまで迫れるか。独自の美容レシピも開発したい。

ちなみに、豚のすい臓は、注文した。恵明会クリニックの院長・山口氏は、白衣の腕をまくって、いわく「豚のすい臓は内臓にへばりついているので、とりだしにくいです。草を刈るようにとっていきます」と。

次回は、院長・山口氏が試みたまだまだあるおどろきの中医学古典美容レシピを紹介します。

つづく

 

 

 

 

 
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●筏丸けいこ:プロフィール

詩人。1980年代前半から詩をかきはじめる。いっぽうで寄席演芸や大道芸が好きで、「人間ポンプ」「人間美術館」など多数の芸人の取材をする。数年前に健康雑誌で美容取材をしたのがきっかけで、天然の素材をつかった美容に開眼。現在、料理をつくるようにキッチンでクリームやローションをつくっている。また東京都足立区のライブハウスyukotopiaで、マンスリーでさまざまな音楽とのポエトリー・リーディングをしている。詩集『再婚譚とめさん』『あかいパラソルをさしたフランケンシュタイン』『パプリカ・ブリーカー』(ともに思潮社)、著書に『いつもお祭り気分 幇間の世界』(亜紀書房)、『かなしいときは ほかほかごはん』(大和出版)、『試してよかった! 自然美容法』『自然美容法 ここがポイント!』(ともに筑摩書房)など。


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