気(き)は人間というオーケストラを指揮するコンダクター気(き)は、仮想的な物質ですが生体活動のエネルギーとなるものです。コンダクターの指揮から発せられるエネルギーがオーケストラを活性化するのに似ています。気(き)は体内に取り入れる空気や水、食べ物を原料に脾(ひ)でつくられます。脾(ひ)は、臓器の脾臓とは違います。ここでは違うということだけ覚えていてください。 つくられた気(き)は体内の隅々までくまなく指令を発して流れます。人間を構成するすべてのものは、指令されたファンクションに従って機能します。DNA(デオキシリボ核酸)にインプットされた遺伝情報にもとづいて、体のもつ全ファンクションを正しく命令・指揮しているのが気(き)だといってもいいでしょう。 血液は血管内を染みでることもなく流れていますが、気(き)はチャネルにそって流れます。チャネルについても別のコーナーで説明します。ここでは、全身にはりめぐらされた、気(き)が流れる専用のルートだと覚えてください。気(き)が全身をくまなく流れることで、体のすべてが、与えられた役割をまっとうできるのです。 血液が栄養を全身に運び、老廃物を回収してくるのも、気(き)が命令・指揮しているから正しくおこなわれるのです。それは血液の働きであり、血管や心臓の役割でありますが、単一の細胞、器官などのパーツで物事が完結してはいません。体のすべてが助けあって、人間は成り立っているのです。人間を全体として成り立たせているエネルギーが気(き)ともいえるでしょう。 Mさんの「気滞血お」を改善した「血府逐お湯」 Mさんが診断された「気滞血お(きたいけつお)」は、一言でいうと、「気(き)が滞り血液が鮮度を失っている」症状です。そのことで、生理時に激しい痛みをともなうのです。しかし「
気滞血お(きたいけつお)」だったら、女性はみな生理痛になるというのではありませんよ。
TCMでの細密な診断の結果、Mさんの生理痛は「気滞血お(きたいけつお)」が発症誘因だということです。つまり生理痛でなく、他の症状を発症する人もいるわけです。Mさんは自覚症状として情緒不安定をあげていますが、ストレスがたまりすぎて「気滞血お(きたいけつお)」を起こし、ちょっとしたことですぐにヒステリーを起こしてしまう、といった人(Lさん)もいます。この人は生理痛では悩んでいませんでした。 原因を突きとめ、取り除くことで、症状が改善します。「気滞血お(きたいけつお)」を治療することで、Mさんは生理痛が改善し、情緒不安定もおさまってきました。Lさんはヒステリーをおこさなくなりました。 現代医学の処方が、「生理痛」の痛み軽減にあるとすれば、それは「生理痛」を改善することにはなっていません。単に、その場しのぎで「痛みを散らしている」にすぎません。つまり、改善されるものが改善されないでいるわけですね。 確かに生理痛の人は、「痛みをとって欲しい」と心から思っています。しかし、今月の痛みがなくなればいいと、願っているわけではありません。症状としての生理痛から解放されたいのです。TCMは、それができるのです。しかも、原因を除去する治療法ですから、同じ誘因による諸症状すべてを改善することにもなるわけです。 Mさんの生理痛の原因は「気滞血お(きたいけつお)」です。「気(き)が滞り血液が鮮度を失っている」わけです。血お(けつお)は、お血(おけつ)ともいいます。通常より、ねばりを増して流れにくくなった血液のことです。 サラサラな新鮮な血液は酸素や栄養などを全身くまなく運びます。また、不必要になった体中の老廃物を回収します。つまり体の新陳代謝を促す重要は働きをしているわけです。血お(けつお)では、このような新陳代謝が活発におこなえなくなり、体のいろんなところに弊害をもたらします。生理痛もその一つの現れです。 Mさんに処方された「血府逐お湯(けっぷちくおとう)」は、血(けつ)を本来の新鮮なものに戻すための生薬を多く含んでいます。そのことで、血お(けつお)を取り除きます。また、胸あるいは横隔膜の上部、肝(かん)や胃の一部の気滞(きたい)を改善させる生薬も含んでいます。 ★チェックポイント
- 気滞血お(きたいけつお)は、気が滞ることで血液が鮮度を失った状態
- 血府逐お湯(けっぷちくおとう)は、血液を新鮮にし、気滞を改善する
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