情緒不安定が生理痛をひどくしていた!!      トップに戻る

●病気と健康 ● 伝統医学で生理痛に克つ!!  第 11 回

 
   
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ストレスが原因の情緒不安で生理痛に苦しんでいたMさん

第1回めに登場いただいたM(30歳・ミュージシャン)さん。20年ちかくも毎月のように激痛に悩まされています。救急車で病院に運ばれたことも一度や二度ではなく、失神しそうなくらい気が遠くなるような状態でも、激痛だけはハッキリと感じるそうです。

Mさんに対する、TCM(ティーシーエム。トラディショナル・チャイニーズ・メディスンの略)からのフォーミュラをご紹介しましょう。

 

血府逐お湯(けっぷちくおとう)

 <含まれる生薬>

  1. 桃仁(とうにん)
  2. 紅花(こうか)
  3. 当帰(とうき)
  4. 生地黄(しょうじおう)
  5. 川きゅう(せんきゅう)
  6. 赤芍(せきしゃく)
  7. 牛膝(ごしつ)
  8. 桔梗(ききょう)
  9. 柴胡(さいこ)
  10. 枳殻(きこく)
  11. 炙甘草(しゃかんぞう)

生理痛は大きく4つのタイプに分けられます。

  • 気滞血お(きたいけつお)
  • 寒凝胞中(かんぎょうほうちゅう)
  • 気血虚弱(きけつきょじゃく)
  • 肝腎虚損(かんじんきょそん)

それぞれについては後日、説明をしますが、Mさんの場合、気滞血お(きたいけつお)と診断されました。血(けつ)の循環が非常に悪いようです。よって、血(けつ)そして気(き)の循環を改善し、情緒不安を取り除くフォーミュラに決まりました。

このサイト『ハーブの風』の用語解説コーナーでは、

気(き)= 仮想的な物質。生体活動のエネルギーと考えてよい。

血(けつ)= ほぼ現代医学の「血液」と同じものと考えてよい。

と説明されています。血(けつ)はわかったとしても、気(き)はわかりづらいですね。

そこで、少し気(き)の話をしましょう。気(き)が仮想的な物質というのは、仮に形あるものとして考えるということです。気(き)は“気持ち”や“こころ”と同様に、見えないけれど確かに存在し、人体に働きかけるものです。 「慢性疲労」のコーナーでの、気(き)の説明を引用します(「優しいハーブで『慢性疲労』が消える!! 第3回)。

 
   
   
 

気(き)は人間というオーケストラを指揮するコンダクター

気(き)は、仮想的な物質ですが生体活動のエネルギーとなるものです。コンダクターの指揮から発せられるエネルギーがオーケストラを活性化するのに似ています。気(き)は体内に取り入れる空気や水、食べ物を原料に脾(ひ)でつくられます。脾(ひ)は、臓器の脾臓とは違います。ここでは違うということだけ覚えていてください。

つくられた気(き)は体内の隅々までくまなく指令を発して流れます。人間を構成するすべてのものは、指令されたファンクションに従って機能します。DNA(デオキシリボ核酸)にインプットされた遺伝情報にもとづいて、体のもつ全ファンクションを正しく命令・指揮しているのが気(き)だといってもいいでしょう。

血液は血管内を染みでることもなく流れていますが、気(き)はチャネルにそって流れます。チャネルについても別のコーナーで説明します。ここでは、全身にはりめぐらされた、気(き)が流れる専用のルートだと覚えてください。気(き)が全身をくまなく流れることで、体のすべてが、与えられた役割をまっとうできるのです。

血液が栄養を全身に運び、老廃物を回収してくるのも、気(き)が命令・指揮しているから正しくおこなわれるのです。それは血液の働きであり、血管や心臓の役割でありますが、単一の細胞、器官などのパーツで物事が完結してはいません。体のすべてが助けあって、人間は成り立っているのです。人間を全体として成り立たせているエネルギーが気(き)ともいえるでしょう。

 

Mさんの「気滞血お」を改善した「血府逐お湯」

Mさんが診断された「気滞血お(きたいけつお)」は、一言でいうと、「気(き)が滞り血液が鮮度を失っている」症状です。そのことで、生理時に激しい痛みをともなうのです。しかし「 気滞血お(きたいけつお)」だったら、女性はみな生理痛になるというのではありませんよ。 

TCMでの細密な診断の結果、Mさんの生理痛は「気滞血お(きたいけつお)」が発症誘因だということです。つまり生理痛でなく、他の症状を発症する人もいるわけです。Mさんは自覚症状として情緒不安定をあげていますが、ストレスがたまりすぎて「気滞血お(きたいけつお)」を起こし、ちょっとしたことですぐにヒステリーを起こしてしまう、といった人(Lさん)もいます。この人は生理痛では悩んでいませんでした。

原因を突きとめ、取り除くことで、症状が改善します。「気滞血お(きたいけつお)」を治療することで、Mさんは生理痛が改善し、情緒不安定もおさまってきました。Lさんはヒステリーをおこさなくなりました。

現代医学の処方が、「生理痛」の痛み軽減にあるとすれば、それは「生理痛」を改善することにはなっていません。単に、その場しのぎで「痛みを散らしている」にすぎません。つまり、改善されるものが改善されないでいるわけですね。

確かに生理痛の人は、「痛みをとって欲しい」と心から思っています。しかし、今月の痛みがなくなればいいと、願っているわけではありません。症状としての生理痛から解放されたいのです。TCMは、それができるのです。しかも、原因を除去する治療法ですから、同じ誘因による諸症状すべてを改善することにもなるわけです。

Mさんの生理痛の原因は「気滞血お(きたいけつお)」です。「気(き)が滞り血液が鮮度を失っている」わけです。血お(けつお)は、お血(おけつ)ともいいます。通常より、ねばりを増して流れにくくなった血液のことです。

サラサラな新鮮な血液は酸素や栄養などを全身くまなく運びます。また、不必要になった体中の老廃物を回収します。つまり体の新陳代謝を促す重要は働きをしているわけです。血お(けつお)では、このような新陳代謝が活発におこなえなくなり、体のいろんなところに弊害をもたらします。生理痛もその一つの現れです。

Mさんに処方された血府逐お湯(けっぷちくおとう)」は、血(けつ)を本来の新鮮なものに戻すための生薬を多く含んでいます。そのことで、血お(けつお)を取り除きます。また、胸あるいは横隔膜の上部、肝(かん)や胃の一部の気滞(きたい)を改善させる生薬も含んでいます。

 

  ★チェックポイント

  • 気滞血お(きたいけつお)は、気が滞ることで血液が鮮度を失った状態
  • 血府逐お湯(けっぷちくおとう)は、血液を新鮮にし、気滞を改善する
 
   
   
 

●次回予告●

Mさんに処方された「血府逐お湯(けっぷちくおとう)」に含まれる各生薬の効果をみていきましょう。そして、トータルとしてMさんをどのように改善したのか、説明しましょう。

 

 
 

 

 

 

 

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