気(チー)は人間というオーケストラを 指揮するコンダクター      トップに戻る

●病気と健康 ● 優しいハーブで「慢性疲労」が消える!!  第 3 回

 
   
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気(き)は、仮想的な物質ですが生体活動のエネルギーとなるものです。コンダクターの指揮から発せられるエネルギーがオーケストラを活性化するのに似ています。気(き)は体内に取り入れる空気や水、食べ物を原料に脾(ひ)でつくられます。脾(ひ)は、臓器の脾臓とは違います。ここでは違うということだけ覚えていてください。

つくられた気(き)は体内の隅々までくまなく指令を発して流れます。人間を構成するすべてのものは、指令されたファンクションに従って機能します。DNA(デオキシリボ核酸)にインプットされた遺伝情報にもとづいて、体のもつ全ファンクションを正しく命令・指揮しているのが気(き)だといってもいいでしょう。

血液は血管内を染みでることもなく流れていますが、気(き)はチャネルにそって流れます。チャネルについても別のコーナーで説明します。ここでは、全身にはりめぐらされた、気(き)が流れる専用のルートだと覚えてください。気(き)が全身をくまなく流れることで、体のすべてが、与えられた役割をまっとうできるのです。

血液が栄養を全身に運び、老廃物を回収してくるのも、気(き)が命令・指揮しているから正しくおこなわれるのです。それは血液の働きであり、血管や心臓の役割でありますが、単一の細胞、器官などのパーツで物事が完結してはいません。体のすべてが助けあって、人間は成り立っているのです。人間を全体として成り立たせているエネルギーが気(き)ともいえるでしょう。

 

  ★チェックポイント★

  • 気(き)は仮想の物質
  • 気(き)が体内のすみずみまで指令を届ける
  • 気(き)が体全体に流れることで、体のすべてが与えられた働きを正しくおこなえる
  • 気(き)は人間を全体として成り立たせるエネルギー

 

 
   
   
 

さて、Nさんのフォーミュラについて説明しましょう。

 ★補中益気湯(ほちゅうえっきとう)に含まれる生薬と、その効果

  1. 黄耆(おうぎ) 人参(にんじん)とともに気(き)を補いながら、体表の気を補います。皮膚や抹消神経・血管などに関わる気(き)と考えてください。人参(にんじん)同様、代表的な気(き)を補う薬(補気薬)のひとつです。エキスには強壮、利尿、抹消血管の拡張、血圧降下、抗アレルギー作用などがあります。
  2. 人参(にんじん) 脾(ひ)で気(き)がつくられるのを助けます。疲労や衰弱、体力の低下に効果があります。おもに五臓の気(き)を補います。
  3. 白朮(びゃくじゅつ) 脾(ひ)の働きを助けます。体の衰弱や倦怠感に効果があります。
  4. 陳皮(ちんぴ) 気(ひ)が全身を流れるのを助けます。胃を活発にします。
  5. 升麻(しょうま) 下降してきた気(き)を上昇させます。内臓などの下垂(通常よりもゆるんで下がった状態)を改善する効果があります。
  6. 炙甘草(しゃかんぞう) 気を補います。また、組み合わされる他のチャイニーズハーブの刺激性や毒性を緩和する働きがあります。
  7. 柴胡(さいこ) 下降してきた気(き)を上昇させます。内臓などの下垂を改善する効果があります。
  8. 当帰(とうき) 気が少なくなることで栄養分の吸収が悪くなるのを防ぎます。「血中の気薬」ともいわれ、血液を活性化します。
  9. 生姜(しょうきょう) 解毒作用や健胃作用があります。
  10. 大棗(たいそう) 精神を安定させ、刺激性を緩和する働きがあります。食欲不振にも効果があります。

 

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」が気(き)を補う!!

気を補う流れにそって、1)〜10)を並べかえてみましょう。

3)白朮(びゃくじゅつ) → 2)人参(にんじん)、 1)黄耆(おうぎ) → 4)陳皮(ちんぴ)、 9)生姜(しょうきょう)、 10)大棗(たいそう) → 6)炙甘草(しゃかんぞう) → 8)当帰(とうき) → 5)升麻(しょうま) 7)柴胡(さいこ)

3)の白朮(びゃくじゅつ)が、まず気がつくられる脾(ひ)の働きを助けます。

つぎに2)の人参(にんじん)が脾(ひ)で気がつくられるのを助けます。おもに体内の五臓の気を補います。一方で 1)の黄耆(おうぎ)は体の表面の気を補います。1)と2)を組み合わせることで補気効果が増強されます。

気が補われるのを助けるのが4)の陳皮(ちんぴ)で、気が全身にくまなく流れるのを助けます。4)とともに9)生姜(しょうきょう)、10)の大棗(たいそう)が食欲増進とともに栄養分の吸収を助けます。

6)の炙甘草(しゃかんぞう)も気を補う働きがありますが、組み合わされた他のチャイニーズハーブの刺激性や毒性を緩和し、補気の効果的なハーモニーを醸しだします。

8)の当帰(とうき)は、気が不足したことで起きる全身への栄養補給の不足を、血液を活性化することで改善します。

5)の升麻(しょうま)、7)の柴胡(さいこ)が、補気できたことによって体がベストコンディションに戻ろうとするのを助けます。体の内外に適度は緊張とバランスを取り戻します。

 

これがNさんを慢性疲労から救ったフォーミュラの実際です。体内に取り込まれた1)〜10)が、以上のような流れと働きかけによって、症状を改善したわけです。補気を必要とする慢性疲労に適したチャイニーズハーブをNさんに適した組み合わせ、分量でフォーミュラすることで、見事に治すことができました。

 
   
   
 

●次回予告●

「慢性疲労」のケースはさまざまです。Nさん以外の「慢性疲労」のケースと改善させたフォーミュラを、もう少しご紹介しましょう。TCMの実力がみえてきますよ。

 
 

 

 

 

 

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