便秘にもいろんなタイプがある(1)        トップに戻る

●病気と健康 ● 快便美人になろう!!  第 3 回

 
   
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腸の長い日本人は、欧米人にくらべて便秘がち?

前回、「便秘」は一般的には、3日以上にわたって排便のない状態だが、排便サイクルに個人差があるので、排便間隔が長いというだけでは「便秘」とはいえない、とお話ししました。そこでまずは、排便にいたるまでの流れを簡単にご紹介しましょう。

食べるといっても、いきなり食べ物が口のなかに放り込まれることはありませんね。たとえば、「そろそろご飯の時間だな」「お腹がすいた。何か食べよう」といった心的刺激が食べ物へと向かわせます。あるいは、「おいしそう」といった視覚、臭覚、聴覚などの感覚的刺激で食欲がわきます。

そうした段階で、消化器官は「そろそろ食べ物がはいってくるな」と受け入れ準備を開始します。体の予測どおりに食べ物が体内に入ってくるとは限らないのですが、空腹などで食欲をそそられる状態であれば、消化器官はスタンバイします。食べることが、生きるための最低条件であった、生物としての原点は私たちの体に今も息づいているわけですね。 

口に入れられた食べ物は噛み砕かれて飲み込まれ、食道から胃へと運ばれます。胃は食べ物の到着を脳に伝えます。すると神経系の反射運動(消化活動のスイッチオン)が起こり、胃は消化活動、大腸は蠕動(せんどう)運動を開始します。

大腸は蠕動運動によって、すでに大腸での作業を終えた廃棄物をS状結腸へと送りだすわけです。小腸から新しく運ばれてくる廃棄物を受け入れるための流れ作業は、新しい食べ物が胃に到着するたびに繰り返されます。

しかし、S状結腸と直腸との間にある結腸括約筋が収縮して、廃棄物はすぐには直腸に送られません。ある一定量をオーバーすると、直腸内に便が送りだされます。すると、直腸がふくらみ、その刺激が中枢神経を介して排便を促します。

しかし、便意をもよおしてもトイレにいけないなど、排便できる条件がそろっていないと、人は排便を我慢できます。我慢しすぎると、直腸の感受性が低下して、中枢神経からの排便指令に鈍感になり、排便できる条件下でも排便できない、といったことになって「便秘」が常習化してしまいます。

 

  ★チェックポイント

  • 排便の仕組み
     ・口に食物がはいる→食道をとおる→胃に届く
      →
    (脳に食べ物が胃に到着したという信号が送られる)
      →
    (神経系の反射運動)→胃は消化活動、腸は蠕動運動を開始
      →腸の廃棄物がS字結腸へと送られる
      →S状結腸の廃棄物が一定量をオーバーすると直腸に送られる
      →
    (中枢神経が「直腸に届いた」という信号を受け、排便指令をだす)
     
    →排便を促す
  • 排便を我慢すると、直腸の感受性が低下して、中枢神経からの排便指令に鈍感になり、排便できる条件は整っていても排便できない

 

人間の体温はだいたい36度前後、乳幼児は高く、加齢とともに少しずつ低くなります。とはいっても、35度から37度くらいの幅ですから、体内は真夏の暑さだといっても良い状態です。そんななかに、生ごみが何日も放置されたら、どうなるでしょう。

新鮮な肉や魚を36度の炎天下、屋外にだしておいたら、1時間もしないうちに腐ってしまいます。腐敗したものは、悪臭とともに有害物質を多量に発生させます。それが腸内で起こるとしたら、ゾッとしませんか。

腸内で腐敗、発酵が起きると、アンモニアやアミン、硫化水素などの有害物質が発生します。なかには発ガン性のある物質、 神経に害を及ぼす物質もあります。また頭痛や肩こり、腰痛を起こしたり、 老化を早めたりもします。成人病の原因となる場合もあります。

当然、肌の状態にも影響が表れ、ハリのない、シワやたるみ、シミなどを誘発しやすい肌質にする危険性もあります。早急な「便秘」解消、快便生活を心がけましょう。食生活でいうと、日本人の体質にあった食事というものを心がける必要があります。

 
   
   
 

欧米型の食生活は、日本人の腸に負担となっている!!

 

便秘の場合、よく食物繊維を多くとるようにと、すすめられますね。前に紹介した「便秘にサヨナラする10カ条」にもはいっています。腸内を快適環境にし、定期的な排便をうながしてくれるのが最大の理由ですが、日本人にはもっと本質的な理由があるのです。

日本人の腸の長さ(小腸+大腸)は約9.2mです。欧米人はというと約7m。2.2mの違いはどこからくるのでしょう。それは食生活です。正確にいうと、植物性食品を中心とした食生活動物性食品を中心とした食生活との差なのです。もちろん、狩猟民族、農耕民族などといわれるようになってから今日にいたるまでの、年月をかけて生まれた差異の話です。

植物性食品を中心とした食生活の人種は、食物繊維を多く含む食物性食品の消化・吸収に時間がかかるため、腸が長くなることで時間をかけて十分な消化・吸収ができるような消化管機構となりました。

食物繊維は水溶性(SDF)と不溶性(IDF)とに大別できますが、世界的には食物繊維自体の定義はまだ統一されてはいません。共通していえることは「人間の消化酵素で分解されない難消化成分」ということです。食物繊維を含む食品の消化・吸収には時間がかかるわけです。 代表的なものとしては、植物に含まれるセルロース、ペクチン。甲殻類の殻に含まれるキチンなどがあげられます。

動物性食品を中心とした食生活の人種は、動物性食品の消化・吸収が植物性食品ほど時間がかからない、というよりも腸内が炎天下状態にあるなか、長く動物性食品を滞在させておくことの害悪のほうが問題で、腸が短く、できるだけ早く腐敗物を体外にだすような消化管機構となったようです。

では、植物性食品は腸内に長くとどまっても害悪はないのでしょうか? 十分な食物繊維があれば、腸内に善玉菌を増やし、悪玉菌を退治できます。腸内が炎天下状態にあるのは変わりませんが、食物繊維が腸内を快適環境にしてくれるおかげで、腐敗による心配を少なくできるわけです。また、廃棄物となった食物繊維は大腸、結腸内の移動を早めます。移動する際には大腸、結腸に付着したごみをからめとっていくお掃除屋さんでもあります。

ただし、「便秘」となれば話は別です。意識的に食物繊維をとるようにしたいのですが、日ごろの食生活を思いだしてみてください。日本人が長年食べてきた、いわゆる“和”の食生活が中心ですか? 戦後、日本人の食生活は急激に欧米型、いわゆる動物性食品が中心の食生活へと変貌しました。それだけでも、長い腸には負担をかけています。ましてそんな状態で「便秘」になれば……。

日本人の体質にあった食生活、植物性食品を中心とする“和”の食生活を心がけることが大切ですが、慣れ親しんだ食生活をそう簡単に切り替えられるものでもないでしょう。まして、動物性食品が大好きだとなれば、なおさらでしょう。「心がけ」は「心がけ」として、心がけましょう。

ただ、すぐにでも始められることがあります。それは、いまの食生活に「食物繊維を多くとる」ことをプラスすることです。「心がけ」は時間をかけて実現していくことでも構いませんから。日本人が1日に必要とする食物繊維は、少なくとも20〜25g。平均摂取量は約15gということです。

食物繊維を多く含む食品としては、カンテン(80.9g)、干しヒジキ(43.3g)、干しシイタケ(42.5g)、抹茶(39.2g)、切り干しダイコン(20.3g)、大豆(17.1g)などがあります(可食部100gあたり)。 

欧米型の食生活で、食物繊維が不足すると、腸内には腐敗の害悪が心配される動物性食品の生ごみが長時間にわたって滞在することになり、腸の機能自体にも悪影響を及ぼします。便秘体質にも拍車をかけることになります。

さて、こうした体質にあわない食生活やストレスなどが原因で起きる便秘ですが、大きく「急性便秘」と「慢性便秘」とにわけられます。それぞれは、以下のように分類できます。

 

  ★便秘の種類

  • 急性便秘
    • 一過性(単純性)便秘
    • 症候性(器質性)便秘
  • 慢性便秘
    • 症候性(器質性)便秘
    • 機能性便秘
      • 弛緩性便秘
      • ケイレン性便秘
      • 直腸性便秘

次回は、それぞれの便秘について、その特徴などをお話しします。

 
   
   
 

うんち苦(3)

人によっても腸の長さが違う

腸は、小腸と大腸にわけられます。小腸は胃の出口から、大腸のはじまりである盲腸までをいいます。直径約3cm、長さ約7.5m(日本人の場合)です。消化吸収の中心である小腸は、その内側におびただしい微細な毛のようなもの(腸絨毛<ちょうじゅうもう>)をもち、栄養分の吸収をおこないます。その面積は約340uにもなるそうです。これだけの規模をもってしないと、消化吸収は容易におこなえないということですね。

 

 

消化管の最後が大腸です。小腸よりもかなり太くて、直径約5cm、長さ約1.7m(日本人の場合)。大腸は盲腸、結腸、直腸からなっています。結腸は、上行結腸、横行結腸、下行結腸、そしてS状結腸にわけられます。自分の下腹右下から上に四角を描くような形で、お腹に納まっています。

大腸でのおもな仕事は、通過する廃棄物から、小腸で吸収しきれなかった水分を吸収することです。そうすることで、適度な硬さをもつバナナのようなうんちができあがるわけです。大腸で水分の吸収がおこなわれなかったら……。毎日が下痢ですね。

1日に約150gのうんちをするとして、それが大腸にはいってくるときは約500mlの容積だそうです。健常であれば約350mlの水分が大腸で吸収されるわけです。この水分の吸収量は、大腸での廃棄物の滞在時間に左右されます。長く滞在すれば、便秘の可能性が高くなるわけです。

植物性食品中心だった人種か、動物性食品中心だった人種かで、平均的な腸の長さは違いますが、実は人によっても腸の長さは違います。長すぎる人はどうしても便秘になりがちです。また、腸が長い人のなかには、細くて長い人、腸が長いために垂れ下がってS状結腸あたりがねじれやすい人などがいます。こういった人たちは便秘体質といわれるくらい、頑固な便秘に悩まされるケースが多いようです

●次回予告●

便秘で悩む人の多くは、機能性便秘ですが、便秘の状態によっては、病気が原因で起きる器質性ではないか、検査する必要もでてきます。次回は便秘のタイプ別に、それぞれの特徴を紹介します。

 

 

 

 

 

 
 

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