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「ハーブの風」

アトピー性皮膚炎:日常生活の注意

その3;プールについて
(これは、Dr赤ひげドットコムに連載したものです。)

プールで思いっきりストレス発散を!!
でも“塩素”は大丈夫なの?

体の大半は水でできています。
だから水につかると「ホッ」!?

 お元気ですか。前回、夏はとにかく“水”と仲良くしようという話をしました。で、「夏、水」とくれば、プールじゃないですか。

 庭先の水遊びもいいものですが、大きなプールでバシャバシャやるのも、子どもにとってはたまりません。ストレス発散にももってこいですし、親子のスキンシップだって野山よりも快適に図れるようです。というのは、親のほうが、野山で汗だくになりながら、子どもの元気につきあっていく気力・体力がないせいかもしれませんが……。

 スカイブルーに真っ白な入道雲。ビキニ姿…、あっ、失礼。

 というわけで、今回は“水”のお話です、ハハハ…。

 人の体というのはおよそ、新生児で体重の75~80%、幼児で70%、成人の場合は男性で60%、女性で55%が水でできています。年齢が若くなればなるほど体内の水の比率は高くなります。高齢者の場合は52~55%くらいと少なくなるわけです。

 さらにいいますと、受精卵のときは98%の比率です。そして、母親の体内では、羊水のなかで、およそ10カ月をすごすわけです(羊水については、次回お話しします)。とにかく、水とはきってもきれないのが生物であり、人間も同様なのです。水につかると、なにかホッとしませんか。もちろん、お風呂嫌い、プール嫌い、洗面器の水に顔をつけるのもイヤ!! という人はいます。でも、そういった人の誕生、水分比率は水の好きな人と同じなのです、これが。で、水嫌いな人も聞いてくださいね。

 疲れたな、のどが乾いたな、というときに水を飲むと、元気がわいてきますよね。これって、気分的なものや、のどが潤っただけの理由ではないのです。飲んだ水は、短時間で一気に体をかけめぐるのです。最表面の皮膚組織まで約10分。脳組織と生殖器(男性は睾丸、女性は卵巣・子宮)へは、驚くなかれ1分以内で到達するそうです。水の摂取や排出をつかさどっている脳そのものが約75%は水でできています。血液は約82%、母乳は約85・5%。体の各組織に送られた水は、それまで体内に存在していた水にプラスされて薄められます。そして代謝、濃度調整され、余れば腎臓に送りかえされます。そして、尿として排泄されるか、汗となってでます。大量に水を飲んだあとなどに、大量に汗をかいた経験はありませんか。その時点での余分な水が汗となて排泄されているわけです。

 私たちは水を体内に取り込むことで、一定の比率に水分を保っているわけです。必要な水分が20%以上不足すると、命にかかわることもあります。年齢が若くなるにしたがって体重に対する水分比率が高くなりますから、当然、水不足や脱水症状には成人以上に注意してあげてください。親子で一緒に遊んで、汗をかいたときも、子どもにはお父さんやお母さん以上に、まめに水分補給をしてあげてください。夏はとくにです。

学校のプールの塩素濃度なら
とくに問題はなさそうです

 さて、プールですが、アトピー性皮膚炎(以後アトピーと略す)のお子さんは、「水が痛い」などの理由で、嫌がるケースが多いようです。プール自体は室内プールもあり、1年中はいれますが、プールを嫌がる子にとって、問題なのは夏。学校のプールがある時期ですね。アトピーのお子さんをもつお母さんからの質問が多いのもこの時期です。

 お風呂の場合も、水道水だと「汗を流すのがいいのはわかっていても、水が痛くて、なかなかはいりたがらない」といった声をよくききます。問題は塩素にあるようです。水道水の蛇口での塩素濃度は、小都市で0・1~0・5ppm、大都市で0・1~1・0ppm。プールの場合は、0・4ppm以上を維持することになっているようです。0・1ppm以上で「痛い」のですから、プールだと「痛い」だけでなく、「悪化するのでは」というお母さんがたの不安、心配もわかります。

 結論からいうと、確かに塩素は皮疹に悪い。ですが、学校プールの塩素濃度であれば、とくに問題は生じないと思います。塩素濃度の高い腰湯については、シャワーに替わっているのではないでしょうか。もし腰湯の学校があれば、先生に申し出ればシャワーで大丈夫なはずです。

 問題は「痛い」場合、痛くなくても「皮疹が悪化」した場合です。先生にそのことを正直に伝えましょう。「痛い」というのは、非常に抽象的に受け取る先生もいると思われます。いずれにしても、ご両親がアトピーについての説明をなさるか、必要であれば、掛かりつけの医師に先生から電話で問い合わせをしてもらってください。

「皮疹が悪化」するケースは、私の小さな患者さんでは10人に2人くらいの割合でしょうか。ただ、塩素というより、他の原因で悪化しているのではないか、という印象なんですが……。傷口からばい菌がはいるなどです。傷口が開いている場合は、明らかにプールにははいらないほうがいいのですが、「はいりたい」「でも心配」というのであれば、事前に掛かりつけの医師に相談してみてください。

 まあ、原因はどうあれ、アトピーの症状となんらかの関連で「皮疹が悪化」しているのは確かです。症状の変化に気づいたら、すみやかに先生にそのことを伝えて、善後策を検討してください。

 で、取りあえず「痛くない」「悪化しない」お子さんは、思いっきりプールを楽しむといいでしょう。プールをたのしみながら、汗も落とせますし、なにより日ごろのつらい「かゆみ地獄」を忘れてリラックスできるようです。人を構成する水分比率だけでなく、人の起源が海にあることを思うとき、水と人との接点は、本能的に心を癒すものといえるのかもしれません。

 ただし、プールからでたら、しっかりシャワーをあびて、そのあと必ず保湿剤をぬりましょう。プールにはいる前にも保湿剤をぬたほうがいいとの意見もあります。毎回、症状の変化をお母さんなりがチェックなさりながら、おおいにプールをエンジョイさせてあげてください。

プールのあとは、しっかりと
シャワーをあびてください!!

 最後に、水道水に含まれる塩素の問題について少しふれておきましょうか。

「水道は、発生からして“おいしい水”を供給するのが目的ではありません。伝染病の予防上の必要から始まりました。1886年にコレラが流行したとき、感染経路を断つために水道水の供給が急務となって、水道事業が計画されたのです。以来、水道水は一貫して安全性最優先できているのです」

 ある日本水道協会関係者の話です。

 安全な水を供給するために、塩素が使われているのですが、もちろん塩素以外の薬品も使って、約46項目の検査基準をクリアさせるそうです。アンモニア性窒素や鉄、マンガンをはじめ、水素などの重金属、農薬などの微量有機物などですが、発ガン性が問題になっている、塩素消毒によってできる副産物・トリハロメタンも検査項目にはいっています。

 水質基準の設定は、「人が生涯にわたって、連続的に摂取したとしても、健康に害がない安全性」を科学的に考慮しているものだそうです。これに対し、「安全というのは、基準値以下であってもゼロでなければ安全とはいえない」という意見が常にあがっています。水道水だけではありませんが、人が体に取り入れるものの安全か安全でないかの判断は重要な問題です。関係する方々の一層のご努力を心から願わずにはいられません。

 さて、塩素ですが、なぜ水道水の消毒に使用されているのでしょうか。それは殺菌効果が非常に高いからです。ポツリヌス菌、破傷風菌などは、生息環境が悪化すると、硬い細胞膜で包まれた「芽胞」を形成します。

この芽胞は、100℃の沸騰した熱湯で30分間煮沸しても死にません。が、塩素だと簡単に殺せるのです。A型肝炎やポリオのようなウィルスも、塩素なら殺せるのです。逆をいうと、浄水器などで塩素を取り除いた水は、消毒力をなくすわけですから、雑菌などが繁殖しやすい水になるわけです。

 プールに適用される基準は、塩素0・4ppm以上ですが、水が汚れれば塩素はその汚れと結びついて塩素化合物となります。つまり、塩素そのものではなくなるわけですから、基準の0・4ppmをクリアするためには、休憩時間ごとに塩素をプールに補充していかなくてはならない悪循環を生むわけです。

 そうなれば、いくら浄化能力があったとしても、目や鼻、そして皮膚が強い刺激を受けるのは当たり前。

 スイミングスクールのインストラクターに聞いたのですが、塩素濃度の高いプールだと、体中にブツブツと発疹ができることもあるとか。彼等のあいだでは“塩素やけ”というそうです。

 とにかく、プールからあがったら、しっかりと水道の水(シャワー)でプールの水を洗い流すのだそうです。

 楽しいプールタイムなんですから、このあたり、ホントなんとかなりませんかねえ。

 余談ですが……。地球上にある水は、およそ97%が海水です。南極や北極の氷(水が凍ったもの)が約2%。ということは、残りの1%を地球上のありとあらゆる生き物が共有しているわけです。海水が蒸発して雲になり、雨として大地にふりそそぐ……。わき水、水道水、下水……、そして海へ。わずか1%が悠久の昔から循環を繰り返し、私たち生き物の命と生活をはぐくんでいるわけです。そんな話もお子さんとしてみるのはいかがですか。

 次回は、97%をしめる海水と海水浴のお話です。もちろん、アトピーに関連したお話です。ホント!?

 では、おだいじに!!