第5話 1/1頁
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冬瓜は食べてよし、美容クリームの材料にもなる
じっさいの話、中医学古典美容でつかわれる材料の豊富さに驚いた。
恵明会クリニック院長・山口氏は、豚のすい臓につづいて、さらに「羊脂」(ようし)を使ったレシピを試みた。北海道の牧場に連絡をとり、羊の内臓をおくってもらったのだ。
ごちゃごちゃしている内臓を、水を使わずに、加熱して、どろどろにした。雑多な部分をとりのぞき、濾過したらきれいな油になったそうだ。
ところがぬってみると、羊の油は臭くて耐えられない。しかしあたためる作用があるので、血行をよくする油としては、非常にいいということらしい。
また漢方生薬の「『細辛』(さいしん)の粉末を人乳にまぜてダンゴにして、使うときに水にといてぬる」というレシピを試みた。人の乳(おっぱい!!)のかわりに牛乳を使った。ところがこちらも細辛のニオイがツーンときつくて、とても不評だったという。
さらには「冬瓜(とうがん)を酒と水でどろどろに煮て、ハチミツをいれ、ふたたび煎じて、どろどろの軟こうにする」というレシピ。
これには条件がついていた。鉄製のナイフで冬瓜を切ってはダメ、竹の刀で切ること、と書いてあったという。たまたまあった小さな木製のナイフで冬瓜を切りにかかったが、あのかたい布袋様の頭のような冬瓜のことだ、たいへん切りづらく、腱鞘炎を起こしたとか。
このレシピもじっさいは、なかなか軟こうのようにはならず、どろどろのままだった・・・。
他のレシピでは、おもに油で生薬の成分を抽出する方法を中心にしたそうだ。油性成分のほうが皮膚からの吸収がよく、また防腐剤なしで保存できるからだ。
ためしに、冬瓜のレシピを私もこころみた。冬瓜を切るのは、包丁を使った。
分量::@冬瓜(皮をむいて、タネをとりのぞいた)500g
A水 200ml
B純米酒 200ml
Cハチミツ 大さじ3杯
作り方は、小さめにきざんだ冬瓜、水、酒を煮詰めて、水分がなくなりそうになったら火をとめる。ハチミツをいれて、こんどはハチミツが完全にとけてから火をとめる。
できあがりはジャムのようでもあり、コンポートのようでもあり、色はハチミツ入りのためか、洋ナシのような、きれいな、きれいなたまご色。透明感がある。クリーム状にはならなかったものの、すっかり冷ましてから、顔にぬりました。手にも。
冬瓜の繊維はじゃまにならず、ハチミツ入りなのに、意外なほど、べたつきがない。液体はさらさらだ。そして、スプーンですくってなめました。こりゃ、おいしい。酒の香りもあり、即、おとなのデザート!! 煮物やスープ料理に使うだけだったので、大発見だ。そして美容用には、ガーゼでしぼって、液体をキープ。冬瓜の黄色い美容液!! まだ効果のほどは不明だが、しっとりするのは確かだ。
中医学の代表的な古典美容レシピで、「冬瓜子」(とうがし)は、よく使われている。別名、冬瓜仁(とうがにん)。食用の冬瓜の種子の中にある実のことで、中国ではこの実を「仁」(にん)といっている。
『漢方の美容』『漢方故事千一夜』などの著者・磯公昭氏によると、冬瓜子は古代中国から使われつづけてきた伝統的な美容用薬材とのことだ。中医学の古典書数冊にそれぞれ、肌がうるおい光沢が増す。色の白さを増し黒いのをとりのぞく。顔色がよくなるなど。食用、粉末にしてスープ用のほか、さらに化粧用クリームの材料にできるなどと記されているようだ。
クリーム作りの方法は、冬瓜の種子を軽くから炒りしてから皮をとり、中身の実をすりつぶしてクリームにしたらしい。
実際に私がやろうとしたら、種子から仁を取るのは、気が遠くなる作業で、15粒ほどで、あきらめた。
冬瓜の皮のしぼり汁は大豆または黒大豆と漢方薬をまぜて使う古代中国の洗顔剤「澡豆法」(そうずほう)の材料にしてもいいという。化粧用クリームにも使えるそうだ。
夏にでまわる冬瓜だが、東京新宿職安通りの大きなスーパーマーケットの店先に、10月半ばだというのに、ごろごろとたくさんの冬瓜が売られていた。まだあるかなあ。磯公昭氏によると、皮も種子も乾燥させて保存しておき、お粥を煮るときなどに使うといいそうだ。
つづく