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紅花仙桃茶(こうかせんとうちゃ)

 
   
   
 

★ショート・ストーリー

「ねえ、どうだった?」
「なにが」
「ホワイトデーよ!」
「べつにィ」
「なに、彼氏いないの? もうすぐ30よぉ〜?」
「いいじゃん!! 好きでフリーやってるわけじゃないもん!」
「そうよねぇ、相手あってのカップルだもんねぇ〜っ」

「ちょっとヤメなよ! せっかくの酒がまずくなる」
「なに、あんたもフリーなの?」
「だったら? ところで、あんたは当然、素敵な彼がいるんでしょうね?」
「えへへッ。実は……いない!」

「焼き鳥、追加しょうよ。ここの、おいしい!!」
「そう・だね、リクエストは?」
「皮!」「軟骨!」「かしら!」「私は、とりさし!」……

「ねぇ、涼子のこと聞いた?」
「離婚したってこと?」
「まだ1年もたってないのにね」
「彼、リストラされたんだっけ……」
「それだけならまだ良かったんだって。彼、完全にオシャカになったみたいよ」
「オシャカ? なにそれ」

「ねぇねぇ、涼子の話? どうした、×=1(バツイチ)は」
「元気そうよ、電話だけどね」
「でも、1年もたたずによく別れたよね。まだ毎晩の時期じゃん?」
「結婚の目的はナニかい!」
「ソーリー。でも涼子でしょ、別れるっていいだしたの」
「なんか彼、ぜんぜんカッコ良くないみたい」
「なにそれ」

「ちょっと、オシャカはどうした!」
「ああ、オシャカね。つまり、魂が抜けたみたいに、家にとじこもってたらしいの、彼。最初は涼子も、会社を憎んだらしいよ。彼がかわいそうだって。で、涼子もパートで日銭を稼いで、おいしいものつくって、彼が早く元気になって、やる気になってくれればって、がんばったんだって……」
「29で、ようやく射止めた男だかんネ」

「リストラされるまでは、結婚前と同じで、頑張りやでガンガン涼子を引っ張ってくれてたらしいの。それが結婚3ヵ月で彼の首がチョン。とたんに彼、別人になったみたいよ……」
「カッコ良くなくなった……」
「今日もさそったのよ、久しぶりの集まりだからって」

「クラス会っていっても、最近は処女の会だもんね」
「どこにいんだヨ、そんな国宝みたいなヤツ」
「心は、みんな処女でしょが!」
「おお、永遠に処女でいろ!!」

「涼子は離婚するつもり、なかったって。結婚しようと決めたときの気持ちをずっと大事にしようって……」
「死んでも彼を放さない! ってやつ?」
「だけど、彼が親にお金を貸してくれって電話してるのを聞いちゃって、糸がきれた」
「借りればいいじゃん、借りれんなら」
「涼子はね、二人でなんとかしたかったのよ。なぜ彼がそう思わないのか、わからないって、いってた……」
「大変だねぇ、結婚って……」

「いいじゃん!! すんだことは。また涼子だって、処女にもどったんだからサ」
「よぉっし、もう一軒いこう!!」
「おじさん、お会計!! 7人で割ってね」

 

<紅花仙桃茶にまつわる伝説をヒントにしました>

 

 
   
   
 

★中国の仕込み茶のなかで、もっとも色鮮やかで美しいお茶といわれています。上海近くの安徽省黄山のふもと、標高600〜800mで作られた新茶の葉を牡丹の花形に結び、中心には千日紅(せんにちこう)の花が仕込まれています。花の色が千日も色あせないから千日紅とか。千日紅の花言葉は「変わらぬ愛」。美容にも効果が期待できます。

 

もっとも美しいといわれる仕込み茶

★紅花仙桃茶をおいしく飲む

赤い花がお湯のなかで可憐に咲きます。まるで永遠に変わらない、色あせない“思い”が宿っているかのようです。紅花仙桃茶は、緑茶の新芽と千日紅で牡丹の花をイメージして作られた仕込茶で、仕込み茶随一の美しさといわれています。

束ねられた緑茶の新芽が花びら、中心に仕込まれた千日紅が、おしべ、めしべのイメージです。湯のなかで、牡丹の蕾がゆらゆらと花開く風情を、中国の人は1年を通じて楽しんだのでしょう。ぜひ、ガラス(透明)の急須で「牡丹の花」を愛でてください。

 

・おいしいいれかた

いれかたは、一般の緑茶のそれと基本的には同じです。

日本の水は軟水のため、茶をいれる場合、茶の渋みが早くでやすいという特性があります。したがって抽出時間は、中国の本場で硬水を使っていれるのにくらべ、少し短くしたほうがおいしく飲めます。まずは「牡丹の花」を愛で、そして一煎ごとに茶液を残さず茶碗に注ぎきることです。

ガラスの急須に紅花仙桃茶をいれ、熱湯(摂氏80度前後)をいれます。じわっと「牡丹の花」がお湯のなかで開花します。まずは花の観賞です。飲むのがもったいないような感動を覚えるものです。1〜2分たったところで茶碗に注いで飲みましょう。

茶碗、急須は湯を入れて温めたものを使います。

茶の味は、日本の緑茶ほど個性はなく、かぎりなく穏やかな味わいです。飲んで気づくのですが、目で味わうお茶なのでしょう。けっして、目で見た感動を壊さない、脇役としての味わいをやさしく舌に伝える仕掛けになっています。見た目の仕込みだけでなく、飲むことによって、より一層、花開いた「牡丹」に心がいく仕込み茶です。

二煎め以降も湯に咲く「牡丹の花」を味わってください。 

できれば熱湯は、茶を飲むときにあわせて沸騰させ、湯ざまし容器などに移し、湯の温度を摂氏80度前後にさまして使ってください。ポットなどで保存している熱湯は「水老」といって、水自体の鮮度が落ちるため、おいしい茶をいれる条件を欠くことになるからです。

水道水を沸かす場合は、できればカメなどにいれて一昼夜おいたものを使いましょう。残留塩素が自然と抜けてしまうからです。水道水をすぐ使う場合は、少し長めに沸騰させ、十分に残留塩素をとりのぞくと良いでしょう。備長炭を水道水と一緒にカメにいれておくか、ヤカンにいれて沸騰させるのも、水をおいしくします。

・保存方法

茉莉花茶(1)を参照してください。

★紅花仙桃花の特徴

牡丹は中国の国花です。また、新年を祝う花でもあります。国民に愛される牡丹の花の形に仕込む紅花仙桃茶は、牡丹同様、中国民に愛されるお茶でもあります。

仙桃とは、中国の伝説にある不老長寿の桃のことです。

昔、西王母(せいおうぼ)という仙女が住む崑崙山(こんろんさん)に、蟠桃園(ばんとうえん)という果樹園がありました。そこで作られる桃が仙桃とか。日本でも良くしられている「桃源郷」は、蟠桃園の別名です。

中国の国花・牡丹を形どり、千日も色あせないとされる千日紅に「変わらぬ思い」を託し、さらには仙桃の名に「いつまでも健康でありたい」との願いがこめられた紅花仙桃茶。とても縁起の良い中国茶といえるでしょう。

紅花仙桃茶には、茉莉花(ジャスミンの花)で香りづけをした、いわゆる花茶もあります。しかし、紅花仙桃茶の美しさを十分に堪能するには、茉莉花の香りが自己主張しすぎるようです。緑茶のほどよい風味こそ、「牡丹の花」を心ゆくまで鑑賞するには適していると思います。

◆次回予告◆

「真珠茉莉花(しんじゅまつりか)」をご紹介します。小さな真珠のようにまるめた白茶(白毫銀針)を、茉莉花(ジャスミンの花)で香りづけした花茶です。。茉莉花の穏やかな香りと、白茶のこくのある甘味が特徴です。 

 

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・協力/茶藝館 (代表:山内正水 TEL.0424-62-5147 FAX.0424-62-5050)

・資料/『中國茶讀本』発行:(社)静岡県茶業会議所
           著者:荘晩芳、唐力新、孔憲楽、王加生 訳者:松崎芳郎

『中国の名茶』発行:「中国の名茶」翻訳刊行会
           著者:荘晩芳、唐慶忠、唐力新、陳文懐、王家斌
           訳者:荒井藤光、松崎芳郎

『中國茶藝』発行:婦幼出版社(中華民國) 

 

 


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