中国でただ一人王朝を建てた女性、則天武后のアンチエイジング対策      トップに戻る

●美容とダイエット ● 筏丸けいこの突撃レポート「悠久の美を求めて」  第 13 回

 
   

 

 

 

 

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昔も今も、アンチエイジング

先日、80歳にもかかわらず、あまりに肌がきれいなので水分を測定したら、30代の肌だったという仰天話を聞いた。その女性、長年、入浴のたびにハチミツパックをしているとのこと。また『家庭に於ける実際的看護の秘訣』(築田多吉著・三樹園社)によると、17世紀のフランスでは、70歳のとき30歳前後にしか見えなかったという婦人ランクルさんがいる。お手入れ法は「ベンネット式顔面若返り摩擦法」(手のひらで顔、あごの下、のど、首筋、耳の前後などをゆっくりマッサージする方法)だ。昔も今も、アンチエイジング話って、私たちを魅了する。

中国4000年の美容法の歴史に君臨するアンチエイジングは、則天武后の美容法だ。こちらも齢80歳になったときも、驚くなかれ、30歳代の若さを保っていたという。

中国には楊貴妃や西太后など伝説の美女がたくさんいて、それぞれとっておきの美容法があるけれど、則天武后はその美しさにおいて女性たちの羨望の的だっただけでなく、当時世界最高の文明国といわれる唐の時代の、おどろおどろしい政治的闘争に勝ち、32歳の時、唐の第3代皇帝高宗李治の新しい皇后となった人だ。28年後、高宗亡き後も、権力への意志を貫き、690年9月、みずから即位、周王朝が樹立された。

うつくしくって、強くって!!

この革命的な則天武后(624年〜705年)は生まれつき美貌に恵まれていたが、政争に次ぐ政争、粛清もろともしないコワ〜イ才女だったわけで、身も心もボロボロ?!を想像してしまうのだが、宮廷では則天武后のためのお手入れ法をちゃんと考えていたのだ。強い老女になったとき、「聖母神皇」と尊号を捧げられたというから、その野心的な才能はきちんと受け止められ愛されていたのでしょう。スケールのでかい天才だ。

いったいどのようなお手入れをしていたのでしょう。

 
   
   
 

神仙玉女粉

文献に残っているのが「神仙玉女粉」(しんせんぎょくじょふん)

作り方は――。

  1. 旧暦5月5日(端午の節句)に採取した益母草をよく乾燥させて粉末にします。泥のついたものは無効。
  2. ふるいにかけて、微粉末をつくります。
  3. 少量の小麦粉と益母草の微粉末に水をくわえて、固めに練ります。
  4. そしてニワトリの卵大のお団子をつくります。
  5. ふたたび天日で乾燥させます。
  6. できあがった益母草のお団子を20分ほど直火で焼いて、さらに弱火で24時間(!!)火にかけ、焼き上げます。焼くには木炭を使用。
  7. すると、益母草のお団子は、きれいな白色になり、それを乳鉢ですって粉にします。

使い方と効果は――。

 

  1. 益母草の焼き粉500g+滑石粉(タルク、あるいはカオリン)50g+臙脂(紅)3gを混ぜて、朝晩2回、顔や手を洗います。
  2. アンチエイジング、つややかな顔面、シミやシミをなくす、古い角質をとるなど。

則天武后は一生、この「神仙玉女粉」を使っていたそうだ。
ちなみに、益母草はシソ科のメハジキのことで、ヨーロッパ原産の同属植物をマザーワァートという。意味は「母の草」だ。

たぶん日本ではじめて則天武后の美容法を日本語で紹介した『漢方の美容』(東京書籍)の著者、磯公昭氏は、「益母草を焼くときは、焦がしてはダメ」とおっしゃった。つまり、お団子そのままを、きれいな白い灰にするのだ。

 
   
   
 

母ちゃんスゴけりゃ、娘もすごい!!

則天武后と高宗の娘、太平公主もまた、母親似のうつくしさだった。さらに磨きをかける美顔用クリームを好んで使っていたという。

材料は、旧暦3月3日に摘み取った桃の花と、旧暦7月7日に採った烏骨鶏(うこつけい)の血である。桃の花は日陰で乾燥させて粉末にする。そこにクリーム状になるまで血をくわえて、できあがりだ。白い肌を作るクリームとして、顔や全身に使ってOK。朝の洗顔後や、夜寝る前などに使用。

いかがでしょうか。

伝統の処方というのは、レンジでチンする現代とちがって、またドライハーブが市販されている現在とちがって、火の時間やその調節、採取の時間や乾燥時間などが重要になる。宇宙的な規模、その生成変化とともに、制作が完成されるのだ。

このような中国伝統の美容法を参考にして、植物の力を借りて、はたまた鶏や動物のパワーを借りて、あっと驚く使用法や効果効能が見つかったら、最高ね。美容に真実あり!!


「筏丸けいこの突撃レポート<中国4000年の伝統医学にもとづいた美容法>」は、都合により、しばらくお休みいたします。

毎回、楽しみにしていた読者のみなさま、申し訳ありません。             (編集部)

 

 

 

 

 

 
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●筏丸けいこ:プロフィール

詩人。1980年代前半から詩をかきはじめる。いっぽうで寄席演芸や大道芸が好きで、「人間ポンプ」「人間美術館」など多数の芸人の取材をする。数年前に健康雑誌で美容取材をしたのがきっかけで、天然の素材をつかった美容に開眼。現在、料理をつくるようにキッチンでクリームやローションをつくっている。また東京都足立区のライブハウスyukotopiaで、マンスリーでさまざまな音楽とのポエトリー・リーディングをしている。詩集『再婚譚とめさん』『あかいパラソルをさしたフランケンシュタイン』『パプリカ・ブリーカー』(ともに思潮社)、著書に『いつもお祭り気分 幇間の世界』(亜紀書房)、『かなしいときは ほかほかごはん』(大和出版)、『試してよかった! 自然美容法』『自然美容法 ここがポイント!』(ともに筑摩書房)など。


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