皮膚科医の美容的アプローチ「漢方の外用薬は日本では、紫うん膏や太乙膏(たいいつこう)など限られたものしかないんです。紫うん膏はたしかにヤケドにいいし、アトピーにも使えますが、しかしもっといろいろなものがないか。最初はアトピーを治す軟膏作りが目的でした」(山口院長) 中国専門書店で、「皮膚」や「外用」と書かれた本をかたっぱしから集めているうちに、皮膚科の疾患と美容の本で扱っている領域が、非常にあいまいなことに気づいたという。たとえばニキビは皮膚科の領域の話だが、ニキビを美容のほうでも扱うし、もちろんシミも皮膚科とかんがえてもいいし、美容でもあつかってもいい、というように。 こんどは皮膚科の本だけでなく美容の本をかたっぱしから買っていった。
「中国語も勉強しながら読みすすめていくと、じつに豊富なレシピと、昔からさまざまなものがつくられていることがわかり、びっくりしました。それも生半可な昔ではない。2000年前とか、楊貴妃が使っていたとか、ものすごい本があって、いっきに、はまってしまいました」(山口院長) 山口院長はアトピー用の漢方生薬の軟膏をつくる片手間に、美容の文献を研究しはじめた。アトピー用の軟膏を作れば患者さんが使うが、美容の場合は、使用感や意見を女性に聞きたい。そこでクリニックの女性スタッフと、中国人の女子留学生との3人で週1回集まり、自宅のキッチンで中医学(中国伝統医学)美容の文献にのっているレシピをかたっぱしから作りはじめたという。 「文献どおりにやっても失敗ばかりで、なかなかまともなものが作れない、本当に効くかどうかもわからない。塗り心地が悪いだの、臭いだの、文句をいいながら作っていましたが、本業もいそがしくなり、半年位で終わりました」(山口院長) 作ったのは20数種類。その後、美容関係のほうは文献どおりに作ることはやめて、たとえば羊の油と書かれてあっても、それをワセリンに変えるなど少しずつアレンジさせながら、その時々に作っていたそうだ。生薬の使い方などノウハウの蓄積ができたという。その一部を現在、アトピー用の軟膏などに応用している。
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